今後の蓄電池の余力活用契約における運用について
そもそも何が議論されたの?
大きなテーマは、蓄電池の運用方法をどう定義・整備していくか です。再エネ拡大を背景に、揚水発電と同様に蓄電池を余力活用契約で使っていく方針が示されました。
- 余力活用契約:TSO(一般送配電事業者)が、電源や蓄電池などの「まだ使われていない余力」を契約で確保し、需給逼迫時や再エネ余剰時に出力調整してもらう仕組み。
なぜ蓄電池×余力活用契約が重要?
- カーボンニュートラル実現には火力からCO₂フリーの調整力への転換が必要。
- kWh管理がカギ:揚水発電と同じくためられる量が限られる電源なので、バッテリー残量をリアルタイムで把握しながら運用する「ストレージ式運用」が望ましい。
ストレージ式運用って何?
揚水発電のように、平常時は事業者が池水位を計画しておき、緊急時にはTSOが一時的に全体を動かせる仕組みです。リアルタイムでkW・kWhを把握するために専用線オンラインが必要。蓄電池にもこれを導入できれば、同様に効果的な余力活用が期待できます。
具体的な運用の進め方
- 余力活用契約:揚水や大型蓄電池などkWh管理が重要な電源をTSOと個別契約で活用。
- 需給調整市場:それ以外の幅広い電源・需要抑制を市場メカニズムで確保。
どの蓄電池が対象?
- 長期脱炭素電源オークションや容量市場で落札された蓄電池のうち、10MW以上かつ専用線オンラインのものはストレージ式運用を基本とする。
- 小規模蓄電池は簡易指令システムのみのケースが多いため、実務コストとの兼ね合いから対象外となる可能性が高いです。
システム改修と今後の展望
- 次期中給システムへの改修が進行中だが、蓄電池向け機能は追加が必要。暫定措置も検討される見込み。
- 同時市場による全国一体運用の議論も進んでおり、将来的にストレージ式運用がアップデートされる可能性あり。
まとめ
- 蓄電池を揚水発電と同様にストレージ式運用で活用すれば、再エネ拡大下でも安定供給を支える大きな調整力になる。
- ただし、対象は大規模・専用線オンラインの設備が中心で、小規模を含む全蓄電池への導入は将来のアグリゲーションや制度整備次第。
- システム改修や同時市場など、今後も制度面の議論が続くため、引き続きウォッチが必要。
火力発電に依存しない調整力として、蓄電池はこれからますます注目されそうです。実際の運用方法やシステム対応がどう進むのか、グリッド研究所でもフォローしていきたいと思います。次期中給システムや同時市場の動きも含め、ぜひ一緒に見守っていきましょう。
参考資料
- 第105回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会(2025年1月28日)